◆ 雪の降る世界

ここに似て、ここではない世界。

・・・そこでは人々は、
あらゆる面においてやせ細っていた。
空一面を覆う塵の雲は人の心をさらに重くし、
人は存在そのものに枷をつけられたかのように、
その口から希望を吐き出す術を亡くした。

だが縋る対象はあった。


  礼拝。


週に一度、日頃空を覆っている雲を真直ぐに開き
その切れ間から降る人口の雪。
穢れた世界を浄化するための白い結晶は、
いつしか人々の信仰の対象となっていった。

・・・これは、そんな世界の話。
この世界と、ひとつボタンを掛け違えた世界の話。